免許を取ったあと、何を買えばいいのか分かりませんでした。
調べると、罠のセット、ナイフ、手袋、服、無線と、いくらでも出てきます。どれも要りそうに見えるし、どれが本当に要るのかは誰も教えてくれない。私も最初は、ホームセンターで目についたピッケルをそのまま買いました。
いま私は、猟隊に入らず、単独で、罠だけで獲っています。1年目は18頭でした。そのあいだ実際に手に取っていた道具は、思っていたよりずっと少なかった。
この記事は、その道具を使う順番に並べた「買うものリスト」です。上から揃えていけば、道具のことで迷わずに、山と獣のことだけ考えて最初の猟期に入れます。
買うものリスト
| No. | 場面 | 買うもの |
|---|---|---|
| 1 | 罠を作る | 罠の部材(ワイヤー・金具・バネ) |
| 2 | 罠を作る | 卓上圧着機 |
| 3 | 罠を作る | 防刃手袋 |
| 4 | 罠を掛ける | ピッケル |
| 5 | 罠を掛ける | 園芸用スコップ |
| 6 | 山に入る | 虫よけ |
| 7 | 山に入る | ラムネ |
| 8 | 掛かってから | 止め刺しの刃物 |
| 9 | 掛かってから | 解体ナイフ2本 |
| 10 | 掛かってから | トロ舟 |
| 11 | 掛かってから | 蓄圧式スプレー |
このリストは順次追加していきます。載せているのは、私が実際に猟期を通して使って確かめた道具だけです。罠の標識や見回りの装備、防寒着・長靴など、まだ書けていないものは、使い込んで良し悪しが言えるようになったものから足していきます。
1. 罠を作る
くくり罠は自作しています。ワイヤーは4mm、より戻しと締め付け防止金具を付けて、押しバネ。踏み板は塩ビ管から作ります。部材は日本一安い罠の店で、塩ビ管はホームセンターで買っています。
自作でいちばん効いたのが、スリーブを潰す卓上の圧着機です。作るのも、傷んだ罠の手直しも、自分でできるようになりました。
アームスエージャー 卓上圧着機 HSC-600BB(ワイヤーロープ径1.0〜5.0mm用)
私が使っているのは別メーカーの卓上型で、同じ物が楽天に無いので、同じ卓上型のこれを置いています。罠を作る日も手直しの日も時間が縮んだ。
踏み板を作る、塩ビを切る。刃物とのこぎりを使う工程では、防刃手袋を着けています。
2. 罠を掛ける
罠はけもの道の中の「通るしかない一点」に掛けます(→ くくり罠がかからない)。その一点が、元から固い土のこともあります。
柔らかい土は園芸用の小さいスコップですくえば足ります。歯が立たない土は、ピッケルで振りかぶって崩してから、スコップですくい出す。石は叩いて砕きます(→ くくり罠の穴掘りにピッケル)。
高儀(Takagi) 儀助 片手鍬 ピックマトック
私が使っているのは、始めたころにホームセンターで買った別の1本です。ピッケルは道具ごとの差が小さいので、同じ片手のピック型で手に入りやすいこれを置いています。土の固さで罠の場所をずらさなくて済むようになった。
3. 山に入る
見回りは基本、毎日です。山に入る前に必ずやるのが虫よけです。マダニは刺されてからでは遅いので、ここはケチらないと決めています(→ マダニ対策は山に入る前に終わっている)。
サラテクトミスト リッチリッチ30(200mL)
山に入る前に必ず使う。ディートを高い濃度で含むので、12歳未満には使えない。
糖が切れると、動けなくなる前に判断が鈍ります。ザックと車と上着のポケットに、ラムネを1本ずつ入れています(→ 猟師が非常食にラムネを入れている理由)。
4. 掛かってから
掛かった時点では、何も終わっていません。止め刺しから冷やすまでが一続きです。
止め刺し
止め刺しは刃物でやります。牡鹿は角があるので、柄を差して槍にして距離を取ります(→ 牡鹿は槍にする)。
解体
山には刃物を3本持っていきます。止め刺しの1本と、よく切れる解体用、汚れ仕事を引き受ける雑用用です(→ 鹿の解体、ナイフは何本要るのか)。
BarkRiver フォックスリバーⅡ LT 3V
3本のなかで、いちばん金をかけている1本。皮を剥ぐのも、筋と肉も、これでスパスパいく。そのぶん骨にも地面にも当てない、こじらないと決めている。
運ぶ・冷やす・洗う
単独だと、搬出も自分ひとりです。軽トラの荷台にトロ舟を載せっぱなしにして、獲物も泥のついた道具も放り込んでいます。解体もこの中でやるので、地面のものが肉につきません(→ トロ舟に放り込むだけになった)。
山に水道はありません。車に戻ったら、蓄圧式のスプレーで手と長靴を流してから乗ります(→ 山に水道はない)。
5. これから追加するもの
罠の標識、見回りの装備、防寒着と長靴は、使って確かめてからこのリストに順次追加します。防寒と足まわりは、冬を越さないと良し悪しが言えません。
それまでに迷ったら、「それがないと罠を掛けられないか、獲物を無駄にするか」で考えてください。どちらでもなければ、1年やってから買っても間に合います。
まとめ
- 買うものは4つの場面ぶんだけ。作る・掛ける・山に入る・掛かってから
- 罠の部材は毎年減る。1本あたりの値段が翌シーズンの基数に効く
- 掛かってからの道具を先に揃える。獲れてから慌てると、肉と獣に負担がかかる
道具が決まると、山で考えることが減ります。どこを通っているか、どこに掛けるか、掛かったらどう運ぶか。1年目に頭を使うべきなのは、そこだけです。
注意していただきたいこと
- 狩猟には狩猟免許と、猟をする都道府県ごとの狩猟者登録が必要です。鳥獣保護管理法および各都道府県の定めるルールの範囲内で行ってください(→ わな猟の始め方)
- くくり罠の構造の基準(輪の直径・締め付け防止金具・より戻し・ワイヤー径)は、対象とする獣と地域によって異なります。わなには法定の標識の装着が必要です
- 目的以外の動物が掛かった(錯誤捕獲)ときは、自分で対処せず、速やかに自治体の担当窓口へ連絡してください
- 刃物の携帯・運搬・保管は、銃砲刀剣類所持等取締法および軽犯罪法に従ってください
- 虫よけ剤の用法・用量および注意事項は、添付文書に従ってください
- 耐切創手袋は切創のリスクを下げるものであり、怪我をしないことを保証するものではありません
- 野生鳥獣の肉は、中心部を75℃で1分間以上(またはこれと同等以上)加熱してください。捕獲した個体の肉を販売する場合は、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可が必要です
- 本記事は運営者個人の使用記録であり、特定の方法や道具を推奨・保証するものではありません


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