免許を取ったあと、しばらく1基も掛けられませんでした。
どこに掛けていいのか分からない。自分の罠が基準に合っているのか分からない。そもそも、いまの自分は掛けていい状態なのかが分からない。調べるほど順番が分からなくなって、聞ける相手もいませんでした。同じところで止まっている人は多いと思います。
結局、やることは3つしかありませんでした。免許を取る、狩猟者登録をする、猟場と罠を用意する。この順に、抜けているところだけ埋めれば進みます。
いま私は猟隊に入らず、単独で、罠だけで獲っています。1年目は18頭でした。特別なことは何もしていません。順番どおりに埋めただけです。この記事は、その順番をそのまま書いたものです。
結論:始めるまでにやることは3つだけ
- わな猟免許を取る。18歳から。全国で有効で、3年ごとの更新
- 狩猟者登録をする。猟をする都道府県ごとに、猟期ごとに毎年
- 猟場と罠を用意する。掛けられる数ではなく、見回れる数だけ
いちばん多い取り違えは、1つめで終わったと思うことです。免許は「試験に受かった」という資格で、実際に猟をする権利は2つめの登録のほうに付いています。

1. 免許|4種類のうち、わな猟を選んだ理由
狩猟免許は4種類あります。網猟・わな猟・第一種銃猟(装薬銃)・第二種銃猟(空気銃)で、使う猟具ごとに分かれています。網猟とわな猟は18歳から、銃猟は20歳から受けられます。
試験は知識・適性・技能の3つ。住んでいる都道府県が年に数回おこなっています。私は猟友会の予備講習に出てから受けました。技能試験では猟具を実際に扱うので、本番の前に現物を触っておけたのは大きかったです。
わなを選んだのは、銃を持たずに始められるからです。銃は所持許可が別に要ります。講習、教習射撃、保管設備と、時間もお金もかかる。わな猟免許なら、受かればその猟期から掛けられます。
免許は全国どこでも有効で、3年ごとに更新します。ここは覚えやすいのですが、次の登録と混ざります。
2. 登録|免許だけでは、1基も掛けられない
ここが分かりにくいところです。狩猟をするには、猟をする都道府県ごとに「狩猟者登録」が要ります。免許は全国で有効なのに、登録は県ごと、しかも猟期ごとに毎年です。隣の県にも掛けたいなら、その県にも登録します。
登録に要るものは、だいたいこれです(福井県の場合)。
- 狩猟者登録申請書と、狩猟税の申告
- 3,000万円以上の損害賠償能力を証明するもの(ハンター保険や共済の証書)
- 狩猟免状、証明写真
登録が済むと狩猟者登録証と記章、それに鳥獣保護区などが載った地図が来ます。掛けていい場所を知るのは、この地図からです。鳥獣保護区・休猟区・特定猟具使用禁止区域は外します。
私は猟友会に入っています。手続きが保険とまとめて進むので、最初はそのほうが早いです。ひとつ書いておくと、猟友会に入ることと、猟隊に入って一緒に山へ行くことは別です。私は猟友会には入っていますが、猟隊には入っていません。単独でも、罠だけでも、始められます。
3. 猟期|わな猟の猟期は、思っているより長い
猟期は原則11月15日から2月15日まで。ただしニホンジカとイノシシは期間が延びている県が多く、ここがわな猟に効いてきます。
福井県だと、ニホンジカとイノシシは11月1日から3月31日まで。しかも11月1〜14日と2月16日〜3月31日は、わな猟だけです(銃は、わなで捕らえた個体の止め刺しに限られます)。前後のこの期間は、罠を持っている人だけの時間です。
猟期は都道府県ごとに違い、年度でも変わります。延長される獣の種類も、期間も、猟法の制限も同じではありません。この記事の日付をそのまま自分の地域の猟期として使わないでください。毎年、登録する県の最新の案内で確認してください。
4. 罠|「掛けられる数」ではなく「見回れる数」で決める
くくり罠は自作しています。ワイヤーは4mm、より戻しと締め付け防止金具を付けて、押しバネ。踏み板は塩ビ管から自作しています。これは好みではなく、法令の基準に合わせた形です。
イノシシ・ニホンジカを捕獲する目的でくくり罠を使う場合、国の基準では次のものが使えません。
- 輪の直径が12cmを超えるもの
- 締め付け防止金具を装着していないもの
- より戻しを装着していないもの
- ワイヤーの直径が4mm未満のもの
あわせて、わなには法定の標識(氏名・住所・電話番号・登録した都道府県・登録番号)を付けます。自作でも市販でも同じです。

基数は10〜15基。見回りは基本、毎日です。掛からない時期は増やしたくなりますが、増やすと見回りが回らなくなります。遅れて困るのは自分ではなく、掛かった獣のほうです。
掛からないときに私が直したのは基数ではありませんでした。場所と埋め方と、掛け終わりの確認です(→ くくり罠がかからない)。
5. 掛かってから|止め刺し・搬出・冷やすまでが本番
罠に掛かった時点では、まだ何も終わっていません。1年目にいちばん想像できていなかったのが、ここでした。
私は銃を持たないので、止め刺しは刃物でやります。使っている刃物とその理由は牡鹿は槍にするに、山へ持っていく3本の役割分担は鹿の解体、ナイフは何本要るのかに書きました。
そして肉の味は、ここから冷やすまでの速さでほとんど決まります。「ジビエは臭い」と言われる原因の多くは山の側にあって、獲ってからの手順で変わります(→ 鹿肉が臭いのは肉のせいじゃない)。
単独だと、搬出も自分ひとりです。掛かった場所から車まで何メートルあるか、斜面はどちら向きか。掛ける時点で、運び出す道のことまで考えるようになりました。これは1年目には無かった見方です。

6. 1年目に効いたのは、獲る道具より安全側の装備
最初は罠と刃物にお金を使いたくなります。1年やって、買っておいてよかったと思ったのは安全側でした。
山に入る前に虫よけを塗ること(→ マダニ対策は山に入る前に終わっている)。刃物を持たない側の手に、防刃手袋を着けること。どちらも、やらなかった日にだけ効いてきます。
手袋は解体でも罠の自作でも、刃を持たない側の手だけに着けています。両手だと厚みで刃の角度が分からなくなるからです。滑っても皮膚まで届かないと分かっていると、迷わず力を入れられます。迷いながら押さえるほうが、かえって滑ります。
Schwer SlicePro 防刃手袋 PR1501(レベル9耐切創)
解体でも罠の自作でも、刃を持たない側の手にだけ着けている。両手に着けると厚みで刃の角度が分からなくなるので片手だけ。食品グレードで洗って繰り返し使えるので、肉に触れる作業とのこぎり作業を1双で兼ねられている。
耐切創手袋を着けていても、突き刺す事故は防げません。繊維が強いのは刃を横に滑らせる力に対してで、刃先が縦に入ると繊維の目を割って通ります。効く力と効かない力の違いは勢い余って手を切ってから、防刃手袋を着けているで図にしました。
まとめ
- 免許は全国・3年、登録は県ごと・毎年。掛ける権利は登録のほうに付いている
- 猟期は県で違う。シカ・イノシシの延長期間は、わなを持っている人の時間になる
- 基数は見回れる数で決める。掛けてからのほうが、やることは多い
1年目に変わったのは、道具より山の見え方のほうでした。同じ斜面を歩いても、通っている筋と、狭くなっている所と、運び出せる道が見えるようになります。そうなると、獲れなかった日にも次に直すところが残ります。
免許を取ってから最初の1頭までは、遠いようで3つの手続きと1つの罠です。順番さえ間違えなければ、単独でも、罠だけでも、そこまでは行けます。
注意していただきたいこと
- 狩猟には狩猟免許と、猟をする都道府県ごとの狩猟者登録が必要です。鳥獣保護管理法および各都道府県の定めるルールの範囲内で行ってください
- 免許の区分・年齢・試験・手数料・狩猟税・登録の要件は、都道府県と年度で異なります。必ず、受験・登録する都道府県の最新の案内で確認してください
- 猟期(狩猟期間)と、延長される鳥獣の種類・猟法の制限も都道府県ごとに異なります。本記事の日付をそのまま自分の地域の猟期として使わないでください
- くくり罠の構造の基準(輪の直径・締め付け防止金具・より戻し・ワイヤー径)は、対象とする獣と地域によって異なります。わなには法定の標識の装着が必要です
- わなの見回りの頻度は、各都道府県の指導に従ってください
- 目的以外の動物が掛かった(錯誤捕獲)ときは、自分で対処せず、速やかに自治体の担当窓口へ連絡してください
- 刃物の携帯・運搬・保管は、銃砲刀剣類所持等取締法および軽犯罪法に従ってください
- 耐切創手袋は切創のリスクを下げるものであり、怪我をしないことを保証するものではありません
- 野生鳥獣の肉は、中心部を75℃で1分間以上(またはこれと同等以上)加熱してください。捕獲した個体の肉を販売する場合は、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可が必要です
- 本記事は運営者個人の記録であり、特定の方法や道具を推奨・保証するものではありません



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