家族と山へ行く日でした。
玄関でいつもの虫よけを出して、子どもに向けようとして手が止まりました。ラベルに「12歳未満には使用しない」と書いてあったからです。
私が猟期に使っているのは、ディートが30%配合されたタイプです。マダニを相手にするならこれ、と決めていたので、濃度のことしか見ていませんでした。年齢の制限が書いてあることを、その日まで知りませんでした。
それで、もう1本を別に持つことにしました。
結論:成分で2本に分けている
いまは、こう分けています。
- 猟期に、自分ひとりで山へ入る日……ディート30%のもの
- 家族や子どもと一緒に入る日……イカリジンのもの
- 猟期外の軽い山、庭仕事、夏の下見……イカリジンのもの
強さで選び分けているのではありません。ディートには年齢と使用回数の決まりがあって、イカリジンにはそれがない、という一点です。
1. なぜディートを避けたいのか
「ディートは体に悪い」という話をときどき聞きますが、私はその言い方をしません。適正に使う分には長く使われてきた成分ですし、私自身、猟期はこれを使っています。
それでも避けたい場面があるのは、次の理由です。
① 年齢と使用回数が決められている
これが一番大きい理由です。ディートを含む製品の添付文書には、年齢ごとの区分が書かれています。

私が使っている30%のものは、12歳未満には使えません。子どもと一緒に山に入るなら、この1本では足りないということになります。
② かかってはいけないものが多い
樹脂や合成繊維に触れさせないように、という注意があります。時計のベルト、メガネのフレーム、ザックのバックル。山の道具は樹脂だらけです。
ただしこの点は、あとで書くとおり誤解されがちです。イカリジンなら気にしなくていい、という話ではありません。
③ においと使用感
独特のにおいがあります。私は慣れましたが、同行者に「それ苦手」と言われたことは一度や二度ではありません。
2. イカリジンという選択肢
そこで出てくるのがイカリジンです。ディートに比べると、日本で使えるようになったのが新しい虫よけ成分です。
私が持っているのはイカリジンが15%配合されたもので、防除用医薬部外品にあたります(第2類医薬品であるディート30%の製品とは、この点も違います)。
メーカーの表示によると、この製品には次の特徴があります。
- 年齢制限・使用回数の制限がない
- 1回の使用で、忌避効果はおおむね6〜8時間(ノミでは6時間)
- においがほとんどない。実際、これは同行者に嫌がられません
- 皮膚アレルギーテスト済み(すべての人にアレルギーが起こらないという意味ではありません)
子どもに使えるものが、そのまま大人にも使える。これが分けて持つ理由になりました。
3. 狩猟で見るべきなのは、濃度ではなく「適用害虫」の欄
ここが、山に入る人にとって一番大事なところだと思っています。
虫よけを選ぶとき、つい濃度の数字を見ます。でも見るべきなのはパッケージの「適用害虫」の欄です。そこに書かれていない虫については、何も言っていない製品だからです。
私が使っているものの適用害虫は、こうなっています。
- 蚊成虫、ブユ、アブ
- マダニ
- イエダニ、トコジラミ、ノミ、ヌカカ
- ヤマビル
マダニとヤマビルが入っていること。山に入る側からすると、ここが決定的です。夏場の下見でヒルに取り付かれた経験がある人なら、この2つが並んでいる意味は分かってもらえると思います。
同じイカリジンでも、濃度や製品によって適用害虫と持続時間は変わります。「イカリジンだから大丈夫」ではなく、その製品の表示を見てください。

天使のスキンベープミスト プレミアム(イカリジン15%・200mL×2本)
家族と山に入る日と、猟期外の軽い山・庭仕事はこれにしている。年齢と使用回数の制限がないので、誰に使うかを考えなくていいのが楽。においがないぶん、同行者に嫌な顔をされない。適用害虫にマダニとヤマビルが入っているのが、山で使う理由。防除用医薬部外品(販売名スキンベープG40)。2本セットなので、家と車に1本ずつ置いている。
用法・用量および使用上の注意は、必ず製品の添付文書に従ってください。目や口の周囲、粘膜や傷口には使用しないこと、子どもに使うときは保護者が自分の手にスプレーしてから塗ること、子どもの手には塗らないことなどが定められています。本記事は運営者個人の使い方の記録であり、製品の効能を保証するものではありません。
4. 「イカリジンなら道具にかけていい」ではない
ここは正確に書いておきたいところです。
ネットで「ディートは装備を傷めるが、イカリジンなら大丈夫」という説明をよく見ます。私が持っているイカリジンの製品も、使用上の注意で樹脂類を避けるよう指示しています。
実際、避けるものとして挙げられているのは、貴金属、ストッキングなどポリウレタンを使った製品、皮革製品、毛皮、家具、塗装面、フローリング、そしてプラスチック製品です。衣類についても、繊維の種類によってはしみ・しわ・変質の原因になることがあるので、目立たない場所で確かめてから使うように、と書かれています。
つまり「かけていい範囲」については、どちらも慎重なほうがいいということです。私がイカリジンを選ぶ理由は装備を守るためではなく、年齢の制限のほうにあります。ここを取り違えると、時計のベルトを傷めてから気づくことになります。
ヤマビルについては、薬だけに頼らない
これも製品の注意書きに書かれていることですが、ヤマビル対策では薬剤だけに頼らず、シャツやズボン、長靴で肌を出さないようにとされています。履物や、その内側の肌にもスプレーする使い方が指定されています。
私も、ヒルが出る時期は塗って終わりにはしません。服で塞いでから、残ったところに使う。これはマダニのときとまったく同じ考え方です。
5. 2本持ってみて分かったこと
結局のところ、使い分けは「相手の虫」ではなく「一緒にいる人」で決まりました。
- ひとりで猟期の藪に入るなら、ディート30%。ここは変えていません
- 誰かと一緒なら、イカリジン。年齢を確認しなくていいぶん、玄関で迷わない
- 庭仕事や夏の下見も、イカリジン。1日に何度も使う日があるので、回数の制限がないほうが都合がいい
2本セットで買って、1本は家の玄関、1本は車に置いています。虫よけは「あるのに家にある」がいちばん多い失敗なので、置き場所を分けたほうが結局は使えます。
置き換えた、という話ではありません。猟期にひとりで入る日は、いまでもこちらを持っています。
サラテクトミスト リッチリッチ30(ディート30%・200mL)
猟期にひとりで藪に入る日はこれ。塗り直しに戻らなくていい持続の長さが理由で、半日いても保つ。効能欄にマダニとツツガムシの両方が入っている。第2類医薬品で、12歳未満には使えない。この制限があるからイカリジンを別に持つことになった、という順番なので、どちらか一方ではなく2本で1組だと思っている。
まとめ
- ディートには年齢と使用回数の決まりがある。30%の製品は12歳未満に使えない。家族と入るなら、この1本では足りない
- イカリジンにはその制限がない。ただし選ぶときは濃度ではなく、パッケージの「適用害虫」にマダニとヤマビルが入っているかを見る
- 「イカリジンなら装備にかけていい」ではない。どちらも樹脂・皮革は避けるよう指示されている
強い弱いの話ではなく、誰と山に入るかで持ち物が変わる、という話でした。
注意していただきたいこと
- 本記事は運営者個人の使い方の記録であり、製品の効能を保証するものではありません
- 医薬品・医薬部外品の用法・用量および使用上の注意は、必ず製品の添付文書に従ってください。年齢による制限は製品ごとに異なります
- 肌に異常を感じたときは直ちに使用を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください
- 咬まれたあとに発熱などの体調変化があれば、山に入った日と場所を伝えたうえで医療機関を受診してください
- 狩猟は、狩猟免許および狩猟者登録を受けたうえで、鳥獣保護管理法その他の関係法令および各都道府県の定めるルールの範囲内で行ってください
この記事は、ディートを避けたい側から見た話でした。逆に、猟期にディートを使う側の話は別に書いています。濃度で何が変わるのか、そして効能欄にツツガムシが入っていることの意味です。




コメント